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政治家とロック [U2]

5月5日は「こどもの日」。英国では総選挙の日。

ブレア首相が党首を務める労働党は今回、総選挙のキャンペーン用ソングとしてU2の「Beautiful Day」を選んだ。これに対し、U2が大反発するという騒ぎがあった。U2側は曲が使われることによって、U2がサポートをしていると誤解されるのを懸念したのだった。

ここで思い出されるのが、1984年の米大統領選挙。
ブルース・スプリングスティーンの「Born in the USA」だ。

共和党候補であったロナルド・レーガン、対立候補であった民主党のウォルター・モンデール。この両氏が演説などでとり上げ、社会現象を巻き起こた曲。特にレーガン氏が選挙キャンペーンで使い、演説でこの曲を流したり、都合のいいように解釈して詞の一部を演説に引用したりしたのは有名だ。

もっとも、これはベトナム戦争からの帰還兵の悲痛な叫びを歌った曲である。米国を礼賛する曲ではない。星条旗を背に、拳を突き上げて愛国心を高揚させるイメージがあるが、それは違う。希望ではなく、絶望を歌っている。レーガン氏は何を思ってこの曲を使っていたのだろうか。

当時、いや今もか。当然、スプリングスティーンは大激怒。レーガン氏によって、曲に込めた彼のメッセージは歪められた。多くの誤解も招き、ある意味、トラウマになっているようだ。彼だけではなく、分別のあるミュージシャンは自分の与り知らないところで「政治家の片棒担ぎ」に仕立てられることに警戒している。ましてや、自分の主義・主張に反する政治家に「利用」されるなんて、はらわたが煮えくり返る思いだろう。

ジャンルは違うが、なぜか政治家に好かれている(笑)ファットボーイ・スリムもそうだ。昨秋、労働党が党大会でファットボーイ・スリムの「Right Here Right Now」を使用。承諾なしで。もちろん、それを知ったノーマンは大激怒。

ノーマンはこの時、新聞紙上で激しく抗議。イラク戦争に反対の立場を貫いており、ブレア首相についても大批判を展開した。

米国のアル・ゴア氏も過去の選挙戦でファットボーイ・スリムの「Prise You」を使用している。もちろん、承諾なしで。「Right Here Right Now」もそうだが、短いフレーズを繰り返すノリがウケるのだろうか? 実は労働党もこの「Praise You」を99年の党大会で、〝ブレアのテーマ曲〟のように使っている。プロレスラーがリングに上がるときのテーマ曲のように、ブレア首相が壇上に登るときに流して雰囲気を盛り上げた。

 ★英国総選挙のこぼれ話

 4日前の12日、英・自由民主党のチャールズ・ケネディ党首に初の子供が誕生した。このときばかりは、ブレア首相、保守党のマイケル・ハワード党首がそれぞれお祝いの言葉を贈り、ほのぼのムード。パパになったケネディ党首は、家族と過ごしたいという理由で選挙活動を2、3日間お休み。んー、ほのぼの。

 今回の総選挙、なんだかんだ言いながらブレア首相率いる労働党が勝つだろう。労働党が3期連続で政権を担当するのは史上初となる。問題はどう勝つかだ。ちなみに、ブレア首相自身は3期目の次期政権で退陣することを表明している。


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