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英国の総選挙 [news&topics]

「30 Days」( A Month at the Heart of Blair's War)
Peter Stothard (著)

5日行われた英国の総選挙。
結果は、ブレア首相率いる労働党が議席数を大きく減らしたものの、過半数を超える355議席(日本時間7日午前1時現在)を獲得して勝利した。労働党が3期連続で政権を担当するのは史上初。

毎日新聞サイトの下記の記事が今回の結果について分かりやすく書いています。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/europe/news/20050506k0000e030071000c.html

世論の反対が強かったイラク戦争への参戦に根強い批判があることなどから、労働党は今回、議席を大きく減らした。

「30 Days」は、イラク戦争に参戦するまでのブレア首相の30日間の言動、苦悩、葛藤、決断を1日ごとに追ったノンフィクションである。ブレア首相の政治人生のなかで最も厳しい30日間だ。久しぶりに本棚から引っ張り出してきた。

著者はタイムズ紙の元編集者であるベテラン・ジャーナリスト。驚くのは、ずっと官邸にまで入って、ブレア首相に30日間密着して取材している点である。

その日に何があり、スタッフとどんな会話をしたのか、誰と会ったのか、その時々でどのような表情をしていたのか、参謀はどんな言動をしていたのか、などが詳細につづられている。赤いマグカップで紅茶をすすりながら……なんていう情景描写もたくさん。ブレア首相がスタッフの間で「TB」と呼ばれている理由を冗談めかして書いていたり。プライベートな領域にまで踏み込んでもいる。

ブレア首相は側近に3人の政治アドバイザーを置いていて、1人は「政党の目」、もう1人は「外国の目」、そのほかの1人は「メディアの目」でそれぞれ首相に助言したり、戦略を練ったりしていたことなども説明されている。こうした点は、日本の政治家にも参考になるのではないかと感じる。

もちろん、首相や官邸が内部での取材を許可している以上、政権を揺るがすような核心に迫る決定的な事実はない。書けなかったこともあるのかもしれない。しかし、知られざる政権中枢の内部を見事に描き出している。この本は、イラク戦争参戦について批判・非難の嵐だった当時の新聞が報じている内容とつき合わせながら読むのが、正しい読み方だと思う。


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コメント 2

ko-bar-ber

コメントありがとうございます。
日本はいつも米国よりですね。英国情報が少なすぎます。
GW中も、政治家は米国ばかりに外遊しています。
これからはアジアや、拡大するEUに関心を持たないと、世界情勢から置いていかれると思います。
by ko-bar-ber (2005-05-09 07:16) 

はるちー

GW中、米国に行った国会議員は四十数人いると聞きましたが、欧州には何人ぐらい行ったのでしょうね。情報も確かに少ない。欧州連合(EU)憲法批准に関する報道などももっとあってもいいと思いますが……。
by はるちー (2005-05-10 00:54) 

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